喜右衛門園芸

植物栽培、観察、雑学、情報発信

センペルビウム・あれこれ1 Sempervivum variegated

詳しい品種説明は除き、栽培に限って私なりに感じた観察した事を中心に書き栽培のヒントになればと思います。
長文になりがちですから、時折画像も挟み込んで、、、。

私自身最初から栽培方法を調べてから栽培を始めたのでは無く、姿や全体の雰囲気が良かった物や変わった物を見てみたい為に、いきなり入手したものが全てです。

斑入り品種なのでやはり普通品種よりは成長は緩慢な感じです。
しかしじっくり待てば画像の様に団子状になってきます。
画像は1cmの物を一つ一年半栽培したものですが、ここまで我慢すれば倍々に増えてくれます。

この以前に2回程栽培しましたが、最初の物は三ヶ月で駄目にしました。
恐らく多湿になってしまったので、腐った様でした。
2回目は一年近く栽培して腋芽も4、5個出ていましたが、夏前に蒸れたのか駄目にしました。
画像が3回目の栽培になりましたが、過去の栽培と違いがあります。
基本的に植物栽培の用土は何を使用しても育てる事は出来るので(用土の性質、つまり排水と保水性に応じて水をコントロールする必要はあります)、後は光線をどうするかです。

失敗した2回とも春に入手して梅雨の時季及び夏は遮光下に置いていましたが、
どうやらそれが良くなかったと現在は考えています。
斑入り品種はまともな葉(葉緑素を持った普通の葉)が全く無いか少ないので、より光線は必要と考え全く遮光無しで栽培した結果、とても良い結果になりました。
その他の斑入り品種も全く同様でした。
梅雨の晴れ間や真夏ではどうしても遮光下に置きたくなりがちですが、結果が悪いとお嘆きのあなた、試してみる価値は十分ありだと思います。

家では地面から1m程の南側棚上で、台風や夕立では場合によって雨が吹き込みますが、ずぶ濡れにはならない程度に雨は避けられる環境です。
直射はなるべく長時間、季節で変化はあるものの平均5時間は当たっています。
棚は3段で2段目に置いてあるため、直上から光が当たらないので植物体が斜めに育って来ると180度回したりしながら管理していました。


寒い時期にはより良い色合いの紅葉を見ることが出来ます。
また置き場の環境(陽当たり、外気温等)によって葉色は様々に変化しますから、毎回違うので面白いです。


斑入りメッテニアヌムと同じ性質の斑入り品種でサクソンですが、テクトルムの斑入り品種として近年に韓国で大量に生産されたものが、国内に入った事で知られる存在になりました。
元はハンガリーより発信された斑入り品種ですが、メッテニアヌムの斑入り品種として流通する事もある様です。
比べてみると斑入りの性質は同じですが、両者は全く別な物より出た斑入り品種です。
大きさもこちらのサクソンの方が大きく4~5cmにはなります。


シーズン中はこんな風に葉が伸びて来てしまいます。
葉数も多いものではないので、余計に徒長した感じです。
メッテニアヌム錦と隣同士で置いてあるのに、この姿と言う事は光が足りないのか水加減なのかとも考えましたが、これはこの様な物だと今のところ考えています。
腋芽はそれなりに出るのですが、1~3芽程で真っ白に近い様な状態で非常に弱そうです。
根張りも浅く、柔らかいセンペルビウムなので今後の状況を見て行こうと思います。


有名国内園芸農家より出現した物と聞いている(名称は避ける)大変美しいものですが、腋芽や胴切りで出る芽などに入る斑は様々で、先に紹介の斑とは異なるものです。
メレンゲの斑入り種と同じ様な斑で、斑が全体的に綺麗に入る個体から全斑(葉緑素を欠く、幽霊)または普通品(青葉)までの腋芽が出るものです。
管理(斑まわりの良い個体を選び、他は省く)をしないと、青葉(普通品)ばかりになり、いつの間にか斑が逃げてしまいます。
また斑まわりの悪いクローンから、良い斑まわりの脇芽が出る事は殆ど(全くと言ってよいほど)出ません。
だから良い斑まわりの個体の摘芯をするか、胴切りをしないと同じ様な良斑の個体を多数得る事は困難です。

しかしながら画像の個体の様に派手な斑入り品ともなると、次々と腋芽を出すような事はなく増やすと言うより、個体その物を楽しむと言った方が良い様です。
4年程育てましたが、一度も腋芽が出た事はありませんでしたが、季節で変化する葉色と斑の色合いの変化は素晴らしいものです。


このストライカーも陽を十分に取る必要があり、遮光なしでないと調子を崩しやすいです。
植物体は硬く他のセンペルビウムと変わりませんが、特に斑の派手な個体は栽培に気を使いますね。
以前にやはり2回枯らしていて、斑のおとなしい物の方が丈夫で腋芽も出ますが、普通葉の物が大半で斑入り品はなかなか出なかった様に思います。
その反面派手な斑入り品は、腋芽も殆ど出て来ず成長は緩慢な代りに、美しい斑を楽しめると言う訳です。
その様な性質を乗り越えればとても良いものだと思いますが、現在進行中の育種に期待したいです。

私も最近知ったのですが、ここ3年程の間に何処でどの様に間違ったのか、季節斑(春先は斑がはっきりしているが、夏から翌春までは限りなく近い普通葉に戻る、後暗み斑)の斑入り品がこのストライカーとして流通しています。
この季節斑の品種も同じ生産農家より発信されたものですが、品違いが起きています。
生産元で品違いが起きたとは考えられないので、ストライカーを知らない人間が入手して後に本来のストライカーを知ったが、入手時の名前で増殖品を販売した結果ではないかと思われます。(ネットでの取引ではよくある話です)


梅雨時期の日照がないと斑が色褪せ気味ですが、これも葉色の変化を楽しむセンペルビウム栽培の楽しみの一つです。

ストライカーは全て同一個体です。

2021・6・6 現在の様子。
ムシムシとした湿度たっぷりなこの時期、日照が少ない為に伸び放題。
それだけなら未だしも病気の発生する危険大。


この2つは種類が違うが良くにている。
斑の性質が同じだから、小さい個体を見分けるのは以外と難しい。


これ程発色の良い品種は他に無いと思います。
今シーズン初めて腋芽を確認しましたが、斑が凄いのでまともには育たない様に思っています。
斑の入り方に偏りがあるので、上手く丁度良い葉の付け根から出る腋芽でないと親と同じ様にはいかないのかな?
なんて考えたりします。
まぁ、あまり期待はせず今を楽しみます。