喜右衛門園芸

植物栽培、観察、雑学、情報発信

Conophytum bilobum ssp. gracilistylum

広義ビロブムは最も分布が広く幾つも亜種、変種があり、厳密に言えばその一帯に自生している個体毎に葉姿は違い、どの個体も実に美しく個性的です。

私はこのビロブムのセクションは一番好みで、子供の頃にホームセンターでリトプスとビロブム(恐らく園芸交配品)を見た時の衝撃は、今でも色褪せない。

機会がある度に色々なビロブムを見てきたが、実生されたり交雑した園芸品、原種の実生品、どれも面白いものです。

園芸交配品が様々あるのは当然ですが、原種にも個性的な物が多々あります。

葉姿は様々だが、光沢のある無し、斑点(ドット、窓)の多少や表皮に微細な毛がありビロード状な物、荒い毛のある物、実に様々です。

 

今回紹介するのは、亜種グラキリスティルムです。

もう10年以上前になりますが、2枚の葉を持つ苗を入手する機会を得て家にやって来たわけですが、これがなかなか難なコノフィツムでした。

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広義ビロブムは一般的に丈夫なコノフィツムですが、この亜種グラキリスティルムは非常に弱く貧弱なビロブムです。

弱いと言うのは性質も少しありますが、一番は加湿にとても敏感だと言う事です。

かと思えば休眠期にカラカラにしてしまうと細根が枯死してしまうので、休眠明けに調子を崩してしまう事もよくある。

また茎が細くコシが無い、根も細く葉数を増やし群生させる様な事にはしにくく、栽培には向かない事ばかり。

家に来た翌シーズン、更にその次のシーズンと2年連続で挿し木になりました。

 

ただし若干産地の違いで比較的に栽培し易い物もあるようですが、定かではありません。

葉姿にも違いがありますが、概ねシルエットは女性的な曲線でキールが赤くなる物もあり、裂葉の先も丸味のある物から鋭尖な物、全体に大型または小型のタイプが古くから知られています。

花はビロブムには比較的少数派のピンク系で、白に近い薄い色から少し濃い物まで、これで育てやすかったらなぁ〜って思っていました。

画像の個体は葉数の少ない頃は最大40mm程にはなりますが、この状態で葉の大きさは30mmまたはそれ以下で、全体に柔らかで本当に貧弱なビロブムです。

よくぞここまで枯死せずに居たものですが、神経質に管理した訳でもなく、いつ調子を崩しても仕方が無い半分諦めた様な放任気味なお陰では無いかと思っています。

花も栽培してから3年目位から毎年咲いていますが、早咲きでまともに見た事は1、2回です。

 

今シーズンから栽培植物の一部を除いていろいろと処分している最中で、寒さや私用が多くなかな思う様に行ってないですが、このビロブムが目に入りこれは処分するのはやめました。

思い立ってこの先何方かの栽培する為に少しだけ参考になればと、記事を書いてみたいと思いましたがどうでしょう。

来季はまた花が見られる保証は無くどうなるかは運次第、今度こそ開花している姿を画像に収めたいと思っている。