喜右衛門園芸

植物栽培、観察、雑学、情報発信

Conophytum garden hybrid No.10

園芸コノフィツム覚書き・10 “ オランダローディアエ ”

roodiaeとしてオランダから輸入された古来品でコノハンにも記載されています。
ローディアエは全く別な原種で、この個体と合致する原種は truncatnm トルンカツム種であることが判っています。
品違いは明白であり本来の名前が分かっていますが、国内では現在も " オランダ ローディアエ " で流通(ローディアエだけで呼ばれる事も)しています。
原種実生品であると思われますが、園芸品の域を出ない物です。

そのトルンカツム種ですが、亜種も含めて沢山のタイプがあり、その中で
" peersii " ピールシイと言われるタイプに合致します。
またピールシイも葉の形に変化があり、
その変化は広義の種に内包される変化で、やはりトルンカツム種の様々なタイプに過ぎない様です。

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斑点(窓)は透明感がありやや大きい、葉の形はクラ型の腰高で側面から下にかけて色づきます。
特に秋遅くから翌春先まで色づいて他のピールシイタイプとは違いがあります。

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産地由来の原種実生輸入品で、上記古来園芸品と大変よく似ています。
私感ですがオランダから " ローディアエ " と間違って入った個体は、この産地のものであったと確信しています。

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これは " オランダ ローディアエ " で紹介したものと酷似していますが、同一クローンではありません。
本当によく似ていますが、何年も観察してみた結果です。
それぞれの幾つかのクローンを隣同士に置き観察を続けたところ、側面の色づき時期がまず違う事(休眠が近づく春先に色づく)、こちらの方の斑点がやや小さく色合いが暗め(最初に紹介したクローンの方がかなり黄色味を帯びている)な事です。

オランダからの輸入時に1クローンだったとは考えにくく、幾つかのクローンが入ったと思われます。
この後に紹介した個体がその一つなのかは不明ですが、この個体も " オランダ ローディアエ " として流通しているのも事実です。

はじめから違和感を覚えたので確認したい気持ちになり購入をしたのですが、

「これは " オランダ ローディアエ " ではないと思うし、何か違う気がする」

と疑問を投げかけたところ、

「 有名な栽培家から分けていただいて御墨付きをもらった物だから間違いないと思います。」

との回答でした。
その後私の見間違いかとも思いましたので、観察する事にした訳です。

原種由来の園芸品も複数のクローンがあるのがむしろ当たり前だし、園芸名が付いていてもそれは個体名(クローン名)とは意味が違うのが判ります。
" オランダ ローディアエ " は個体名ではないと言うことだったのですね。

皆さんが使われる園芸名の中には通称名(流通名)と個体名(クローン名)があり、
" オランダ ローディアエ " は流通名なのです。

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最後に別なタイプの " ピールシイ " ですが、" オランダ ローディアエ " の腰高の葉姿ではないタイプです。