園芸コノフィツム覚書き・ No.17
グロボスムの面白さ
今回はタイトルの園芸とは少し違うが、原種と原種由来の個体を比較しながら、同種でもこれだけ違いがあるのかと思わされてしまう程、違いの面白さを紹介したい。
違いの面白さでは、bilobum 以上に面白い物は無いと思う私ですが、文章や画像で伝えるには膨大過ぎるので、グロボスムを取り上げます。
既にご存知の方も多いとは思いますが変異の大きい種の一つで、コノハンにも花色の違いや葉姿の違いが紹介されています。
当時国内に入っていた物は縦型で僅かに窪んだ割目な個体と、裂葉のハッキリとしたタイプ、フラットフォームと呼ばれた平たいタイプがありました。
最近ではこれらのタイプはあまり見られなくなり、原種由来の実生や原種が少し見られる程度
です。
花色は白から濃いピンクまであり、鞘状になりあまり平開しないもの、平開するものがあり小輪、大輪もあります。
平開する有色花では複色を示し中心部は白色で、更に奥には黄色となる花です。
なので白花ではその境目は判らないので、中心部の黄色が目立ちます。
こちらは当時2〜3タイプ入った物の一つで、
コノハンに平型グロボスムと紹介されているクローンです。
窓(斑点)は僅かに散らばって見られるか全く見られなく、同じ様な外観のウィットステイニイ種と花が咲かなければ見分けがつきにくい物まであります。
花色は白のタイプしか私は見たことがありませんし知りませんが、他のタイプで有色の花を持つものとの交配実生や、元々のこのタイプの有色花もあるかもしれません。
次は国内に入ってたのは意外と古くグロボスムとしてではなく、ヴァンブレダイと言う名で流通していたことがあります。
ヴァンブレダイ とありますが、スティーブン・ハマー氏の記載によるとヴァンブレダエとなっている。
現在はタイプ名であって学術的に分けているものではない。
最後がイかエの違いだが、国内ではイとなっていてまたルと表記されているのも見ました。
もしかすると筆記体の i または l が本当は筆記体の e の見間違いではなかったかと推察してしまいます。
ヴァンブレダエのタイプの葉姿は画像の様に、割れ目とは直角に緩やかなキール的な隆起があります。
この隆起は著しいものもあるがかなり目立たないものもあり、窓(斑点)も細かく全体にある物から全く無い物まで様々です。
下の画像は原種ですが、これもタイプとしたらヴァンブレダエのタイプで葉姿よく高度なマットを形成しますが、画像当時で3枚の葉から10年は経過していました。
有色花の方が古くにヴァンブレダイとしてよく流通したタイプです。
白花は産地データのある原種で、下の画像と同じ個体の別な年の開花画像です。
このヴァンブレダエのタイプのグロボスムは、栽培の状態や生理状態で、同クローンであっても葉の形状は変わる事がよくあります。
しかしこのタイプが先に紹介した平型グロボスムの様な葉姿になる事はありません。
コノハンに出ているグロボスムは平型グロボスム以外皆縦型の物だが、現在は廃れてしまったのか殆ど見なくなった。
輸入で国内に入ったものばかりだから、当時海外でもグロボスムと言えば縦型のものが普及していたのだろうと想像します。
このナカナスと呼ばれだ物は幾分縦型だが、名前の由来は判っていないグロボスムで古い輸入品です。
葉色は翡翠色でキメが細く硬いイメージで、窓が殆ど或いは全く出ない物です。
葉姿も画像の状態では丸型に近い縦型ですが、もっと背が高く裂葉がハッキリする事もあります。
次はふっくらとした優しい感じのグロボスムで、一番良く流通するタイプではないかと思います。
この様なタイプで小型なものから大型の物までありますが、葉姿はこの様な感じです。
花色は白と薄いピンクとあるり、これは大型な方で薄いピンク花です。
これらは原種であろうと思いますが、データや由来が不明である為園芸扱いのカタカナ表記となります。
最後はグロボスムとしてはかなりの平型で、最初に紹介した平型グロボスム以上にフラットの産地データのある原種です。
恐らくグロボスムとしては一番背が低いタイプではないかと思われ、中央がくぼみ一枚葉ではほぼ円形をなしています。
グロボスムとしては花軸が短い方で、花色は白です。
以上駆け足でグロボスムを紹介しましたが一つ難点を言うと、水分には敏感な方で辛めの管理と陽をよく取る必要があります。
タイミングを間違えると、実割れを起こしやすく勿論溶けてしまいやすいです。
家でも栽培していて毎年1〜5枚は必ず調子を崩す事がありましたので、高度な姿良いマットを形成している画像の個体は貴重な栽培品でしょう。
増えも他の物と比べ悪く、丁度夜開種のカルクルスなんかに近いかもしれません。
ですから入手したら気長に栽培をつづけ、過度な水やりをせず葉数が増した頃カットし独立個体を増やすか、実生をして栽培品が無くならない様に努めるのが寛容です。
この手の表皮が硬い葉を持つタイプの栽培上手な方にお話を聞いた事はありませんが、やはり肝は水やりと陽ではないでしょうか。
皆さんが思ってる以上に活着した物は水を必要としないです。