喜右衛門園芸

植物栽培、観察、雑学、情報発信

新たな導入・2 Orostacys margaritifolia

latiellipticaと同じく韓国より輸入されたもので、入手及び情報の入手の経緯は先に書いた通りですので、省略します。


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これも朝鮮半島南部固有であると思われます、マルガリティフォリアです。

大韓民国の智異山産由来として入ったものですが、" 全くわからない・1 オロスタキス " で紹介した物と同一です。

 

一見して同じ物だと思いましたし、韓国に聞いて頂いたので、間違いは無いと思います。

先の個体は sp.晋州  として入ったものですが、智異山と晋州市はほど遠くない位置にあり、晋州市は山岳地帯が殆ど無い都市部の様です。

今回の智異山辺りも晋州と呼ぶのか判りませんが、智異山を含む山岳地帯が産地なのではないかと推察します。

 

こちらも以前から学名が知りたかったので、判明してから調べたことを書きます。

latielliptica 同様、2000年にイ・ヨンノ氏によって1999年10月30日に慶南晋州産 ? (恐らく智異山若しくはその近隣山岳) の標本をもとに記載されました。

 

タイプ標本は韓国植物研究所にある事になっています。

 

しかしこちらも国際的には認められておらず、

なんと malacohylla var. malacohylla のシノニムにされているのです。

もうこうなると何が何だか。

ここまで別な植物を ゲンカイイワレンゲ と同じ物だとするのは、何を間違えたのか判りませんね。

それにしても latielliptica 、margaritifolia 共に 

malacohylla var. malacohylla のシノニムにさせられているとは、ますますタイプ標本をみたいものです。

latielliptica で書いたように、

この margaritifolia も葉先にガラス質の棘を持っている為、ツメレンゲグループなので、

 

私は malacohylla var. malacohyllaでは無く、

margaritifoliaは完全な独立種と断言します。

 

産地で岩場にへばり付く姿がありますが、

朝鮮半島固有の種なので、韓国の学者の先生方

頑張って正式な記載を目指して下さい。

欧米各国に個体が入っていますから、

既に一度記載されていますが、

論文が受け入れられていない以上、現在は新種と同じ未記載扱いです。

latielliptica、margaritifolia 共に正式な記載が待たれます。

と言うことで一連の未記載のオロスタキス2種については終わりにします。

 

2020・9・4

最近の韓国内のニュースに智異山以外の産地が発見されたと報じられ、推察していた通り局所的に半島南部を中心に産地が点在している様です。

今後も新たな産地が見つかると思われますが、新種記載がされ広く認識されることが急がれます。

この margaritifolia の自生環境から、他の植物との競争には弱く斜面や切り立った岩場を好んで自生しているのが確認できます。

” 全くわからない・1  ~ ”  でも書いた様に、茎は極端に短く(殆ど無茎)で張り付く様な姿なので、岩場などの自生に適している。

かわりに背の高くなる様な植物が侵入して、

陽当たりが悪くなる様な場合は共存出来なく

競争に負けてしまうと思われます。

自生地が局所的なのは、生育出来る条件が揃った場所が少ない為だと思われますから、自生地の保全も急務でしょう。

この種類が何処で発生し陸続きだった時代もあったのに、大陸から分布を広げた満鮮要素の様々な植物達。

何故この margaritifolia はそこに加わる事が出来なかったのか、色々な要因が想像、考えるのは植物栽培をするよりもゾクゾクするし、何よりも楽しい時間な私です。