この新しいお題の ” それは違うな ” はシリーズで時折私が目撃した間違いを指摘するものです。
人から憎まれたりしそうな事ばかり書いているのですが、それ程間違った情報やそれに附随した物が出回っている状況なんだ!
って私は言いたいのです。
だから書きます。
今回はかなり昔からの間違いです。
マツノハマンネングサ、
Sedum hakonense 。
固有種で分布が限られているのと、生活環境が限定されているので、決して安定しているとは言い難く現在では不安定要素の方が強いイメージです。
植物自体の詳しい事や画像は検索していただけたら判りますので、割愛します。
割愛しますが、今回も長文書きます。
分布域は北から秩父、奥多摩、上野原、丹沢、南足柄、箱根、伊豆。
富士山をぐるっと周り込む様に富士宮から山梨県、甲州と天然ブナ林が残っている場所に点在しているとある。
かつてはもう少し広い範囲に点在していたと思われますが、複合的要因により局所的に残ったと考えられます。
また点在している産地毎に変異があるのですが、マクロでは個体差もあるしワイドで見れば変異もあります。
葉の形状、長さや幅、花では裂けて花粉が吹いてくる前の包は朱赤~黄色まであります。
分布を広げてゆくには何の動物が関与したのか?
大概は動物が関与しているのですが、どうだろうか。
いや、国土が自然林だったころ分布を広げていったのだろうが、その自然林が植林活動等によって分断消滅した為、現在の産地だけが残ったと言ったほうが良いかもしれません。
種子はかなり微細な事、かなり高所にも生育している事も考慮すれば、自然現象つまり風、嵐の様な強風が分布を広げる為に関与し自然林を移動していったのではないか、
飛躍しすぎな考察かな。
現在の状況から未来を考察すれば、
非常に危な気なブナを含んだ自然林の自生地の遷移が進行するならば、それに伴いまたはそれより早く自生地毎の個体群が進化を遂げていくと思われます。
分断された自生地毎の遺伝的交流が無い個体群の運命は明るいとは言えない。
分布の拡大には自然林が不可欠だと考えると、それが現在ない将来に復活していくとは考えにくいともなれば、個体群が独自の変化を生じる可能性もあるのでは?
それとも逆で自然遷移と共に絶滅していってしまうのか?
この先の未来には人間活動の影響を受けない自然遷移はあり得ないですが、この生命に幸あれと思うのです。
生活環境は天然ブナ林(ブナそのものとは限らない)で苔むした大木、苔の堆積物やそこに溜まった物に茎を倒して節から根を浅く張っている。
倒した茎は根茎の様な役割をしていて、古くなると苔に埋没していて、そこから新たな芽が成長するがその茎は結構長く苔に守られながら残る様です。
さてここからが本題です。
以前からではありますが、国内でこの和名マツノハマンネングサは正式な和名と流通名(通称名とも言う)があります。
正式な和名とは言うまでもなく、Sedum hakonense に対応するものですが、流通名(通称)のマツノハマンネングサは園芸品の
Sedum polytrichoides ” Chocolate Ball ”
です。
良く見かける園芸品 (正確には原種より実生選別品の ” チョコボール ” )ですが、
誰がこの海外種をマツノハマンネングサと呼んだのか?
酷いとSedum hakonense ” Chocolate Ball ”
なんてラテン語を並べて、希少性や更にその選別した物で分布が限られている、なんて説明があったりします。
デタラメにも程がある。
各社販売サイト、業者の販売サイトなども同様に見てみたらビックリを通り越して呆れてしまう。
皆さんも恐らく気が付いているはず!
と思いながら、あえて文章にして何方か一人でもこの記事を読んで理解、誤った認識を正していただけたら幸いです。