喜右衛門園芸

植物栽培、観察、雑学、情報発信

全くわからない1 ・オロスタキス Orostachys

綺麗なロゼットなのでアイコンにしていますが、直径7cm程で私には未知な植物です。


これは最初に見たときに違う植物の属名が付いていたが、一見して違う事が判りオロスタキス属の植物だと想像した。
調べてみても良く判らなかったが、時季に花芽が出て来て確信が持てた。


オロスタキス属で間違いなかったが、種類までは依然として判らない。
大陸産なので一番近いのはmximowicziiの一型ではないかなぁ~?
資料も少ない(文章での記述かあってもさく葉標本の画像位)ので、難しいです。
mximowicziiや他の種類も大陸となれば、かなりの広範囲に自生があり、変異も著しいと思います。
仮にmximowiczii種であれば、非常に良いタイプだと思います。
たった1本しか無かったので開花後は枯れましたが、種子が取れた様なので蒔きました。


幾つか発芽して大きくなってきた物もありますが、全体的に生育が遅く1年近く経った物でも直径1cm(生育期で葉が展開している状態)しかならず、大きくて3cmに届くかどうか。
他花受粉では無かったので、種子も少量、大きさも小さかったと思われ生育が遅く悪いのでしょう。
結構探してみましたが、これだって思う植物を見出だせないので珍しいものか、未記載種の可能性もありそうです。
もし何方か情報を御持ちでしたら、御一報をお願いいたします。

2021・4・12 追記

実生した苗の様子です。

2月の中旬位から起き出しみるみる大きくなりました。
大きくなり過ぎてツメレンゲとしては異例の大きさ12cmです。
まぁこの個体だけとび苗なのかもしれませんが、デカい。
何とか実生して増やせる個体は確保出来そうです。
しかし種類が判らない、本当に何方かご存じありませんか?

2021・4・29 追記

デカいです。
更に大きくなりまして15cmに達しました。
しかしながら腋芽が出てこないタイプの様で、恐らく自生地ではツメレンゲの様に主に栄養繁殖し群生するのではなく、イワレンゲの様に種子繁殖していると思われます。
なので一個体の寿命は短く開花後種子を残し枯死します。


またフラットな姿から岩場を中心に貼り付く様に自生していると思われます。
またこの様な姿のセダムが海外にも局所的にありますが、明らかな越冬芽を形成するのでオロスタキス属の植物だと思います。
この秋には開花するのではないかと思いますので、その時にまた状況報告します。

2021・7・10 追記

「最近多いオロスタキスの
交雑について」の記事で書いたように、このオロスタキスからの実生苗の半分は他種との交雑品であった事が2ヶ月前に判明しました。
この大きく育ったものがその交雑品の一つであったのです。

また以前にこのオロスタキスを販売した方とコンタクトを取る機会を得て、原産国が判明したので記したいと思います。

元々韓国からの輸入品で、韓国語が堪能なその方に輸入元へアプローチしていただきました。

原産国は韓国南部で生産(脇芽を出さない単独な種類にて実生しか維持出来ない)しているとの事。
他のオロスタキスも株分けや実生をして生産している様子。
また固有種であるとのこと。

早速Googって見ましたら、あと2タイプのオロスタキスと共にイギリスのマンチェスターフラワーショーに出典された事も判りました。
海外でもアジア原産のオロスタキスは人気で、絶やさない様に上手く栽培されています。

さて私が一番知りたい情報の種の特定ですが、先ず生産国は判明して固有種までは判りました。
しかし英国のサイトでも未確認種として韓国産とあり、生産場所なのか採取場所だか判らないが記載が見られました。

私が栽培していた個体も、原産国が判らなかったのでその点は進展です。

イギリスでも種の同定には至っておらず、それ以上の追跡は出来ていません。
本当に局所的に分布している固有種なのか、未記載種なのか非常に興味が湧いてきます。
未記載種であるなら、先に園芸的に流通した後から学術的に記載され学名を与えられると言う、逆転現象が起きるかもしれませんね。

こんなに特徴的で他のオロスタキスから簡単に見分けの着くものが未記載種であったなら、あの朝鮮半島のフロラを研究され尽力された中井猛之進先生もビックリではないでしょうか。


2021.8.22

このsp. 晋州 で入ったオロスタキスは、margaritifolia である事が判りました。
→ 新たな導入・2を参照。

韓国、晋州市西方にある智異山で発見されたもので、智異山固有かは判りませんが、智異山を含む山岳地帯の岩場に自生しているとのこと。
簡単に人の出入りが出来る場所ので、保護が必要とあります。
既に海外に園芸目的で入っているため、野外の採集は控えてもらいたいですね。