喜右衛門園芸

植物栽培、観察、雑学、情報発信

Massonia depressa マッソニア・デプレッサ

デプレッサ種は変異がある種類ですが、近年幾つかの変異タイプを別な種類に統合する論文を出したそうだ。
趣味家にはあまり関係の無い様な話だが、
栽培のみを楽しむのではなく、その様な論文を理解すれば別な世界(視野)が広がると思うので大切だと思います。

話を戻すとデプレッサ種は他の種類とは開花時期が遅く(国内での無加温栽培では1~
2月)、花の構造が随分異なっている。
雄、雌しべの根元は受け皿の様になっており、その受け皿にたっぷりと蜜を溜めているのだ。

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花粉が落ちて見苦しい画像だが、お判るになるだろうか。
光っているのが蜜で、これを目当てにネズミ(げっ歯類)が受粉を助けているのが観察されている。
この大量の蜜を持つ花は、恐らくデプレッサ種固有な花ではないかと思われます。
花の構造はよく似ているが、別な種類がデプレッサ種に含まれている可能性がありそうで、その為変異として認識されたのではないでしょうか。
何れにしても標本ではなく、現地での観察を含めた研究が待たれます。

余談
コマガスと言う現地の物は円形の葉1枚がディナー皿の大きさだと言われ、その大きさにはビックリさせられる。
この画像の個体は2枚の葉を合わせて30cmを越えるが、花の集合した部分は7~8cm程ある。
これだけ蜜を持った大花ですが、栽培では全く利用されず何とも勿体ない。
香りもあるのですが、あまり良い香り(酵母に似た香りと言われる)とは思わないので、蜜が美味しそうだけど味見をする気にはなりません。