喜右衛門園芸

植物栽培、観察、雑学、情報発信

アリオカルプス・連山

アリオカルプス、

面白いサボテンがあった物だと、興味を持ったのはつい最近の事です。

花サボテン程巨大では無いが、開花した時は美しいものです。

種としては決して多くないが、地域変異、個体群などで分けられているので、コレクションされている方は多くを集め栽培している。

その反面過去には大量に盗掘された山採り品が世界中にバラまかれた歴史があり、現在それ等の個体が一体何の位現存するのかを考えると、私を含め植物栽培と言う行為は悪行と言うに他ならない。

現在も現地民、ブローカー、小売業者、ユーザーと一連の流れが確立して、合法だと言いながら山採り品が業者の棚やユーザーの棚に鎮座し、出版社が特集を組んでそれらを助長する様な書籍を出版しているのは、果たして平常、正常な趣味と言えるのだろうか。

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これを手にしてから3年、入手時の画像と見比べると高さは一緒ないし低くなったが、外周は1cm程大きくなった。

毎年ブーケの様な豪華な花を咲かせてくれるし、花の無い時もこの整った姿が気に入っている。

やはりこの個体も例にもれず古い輸入品と聞いたが、山木山採り品であろう。

前の持ち主は業者の様な感じであったが、本来の持ち主(長年の栽培者ではない)ではなさそうだった。

栽培者は何らかの理由により、この株を手放さなくてはならない事情があったのだろうと、想像する。 

一体何十年生なのか気になるところだが、この先も長生きして欲しいものです。

私が最期まで手元に置くつもりの植物の中でも筆頭になる事と思うが、その後を何方かに引き継いてもらう事が出来たら、この個体が遥々故郷から無理やり連れて来られた事に対して、私は懺悔の念から少しだけ開放されるでしょう。

 

話が変な方向に行ってるので、修正します。

 

他ではあまり見ない小さな葉の形をした部分は、分厚く鎧のように硬く重なり見事です。

葉の様な形〜

としたのは、実際サボテン類は一般に葉っぱ(葉身と葉柄からなる)的なものは持たないか棘に変化し、球体状な部分は茎が変化した物と言われている。

だがアリオカルプスでは、棘があるはずの場所に棘座と言われる綿毛状の物があり、その棘座の周りがあたかも葉の様な形状をしている。

これを何と表現したら良いか先人達は考えてイボ(疣)と呼んだが、広くサボテンとひとくくりにした植物の見た目の凸凹の凸は、現在も疣と呼ばれている。

その疣が葉の様な形をしているアリオカルプスは、何とも変わった一群で世界で人気がある。

 

最初に戻るが、なので世界中から採集者が探索、採集された為に現在は絶滅に瀕していると聞く。

最早野生の個体を見ることは極めて難しくなっている様です。

成長は御世辞にも早いとは言えないが、実生も盛んに行われている。

残念なことではあるが、ガーデンシードは交雑した種子が多く、それ等の種子から得られた個体は時に交雑したとは思えないほど、本来の得るはずだった種類と見分けが付かないものもある。

遺伝子汚染が深刻になっている品種もあるようで、 某オークションサイトでも結構よく目にしますので深刻です。

特に純粋な種をコレクションしている者にとっては許せない事で、こういう事からも山木の需要が未だに絶えない理由の一つにもなっていると聞く。

私もこの連山から毎年種子をせっせと採種し欲しい方に配ったり自分でも蒔いているが、なかなか手強いもので成長が遅い。

よく発芽して弱いわけではないが、只々成長が遅い。

ただ蒔きっぱなしはダメの様で、発芽して一年後には小さいながら移植すると、グンと成長する様です。

だからと言って3年で開花なんて夢でしょうけど。

 

心の声〜

自分が若いうちでないと実生をしてはいけないかもしれない。

自分亡き後の未来人達へのプレゼントとして、喜ばれる様な良型の物を探す為の実生をするなら、実生をするのも良いと思いますね、例え途中でやめる事になったとしても。