シャボテンとして古くから栽培されている物の一つで、流通名象牙丸の名でしたしまれているコリファンタ・エレファンティデンスがあります。
実生から育てると大きくなるまでにはそれなりに時間がかかりますが、斑入り品、棘なし、短棘、大疣等の変り物が出たりする事があるので、種子が採れたら蒔かない手はない。
その点一つ変わった物が出たら大きく育てて、棘の直近から発生する仔を採取して挿せば、多数のクローンを得られ、実生よりも数倍早く開花させられる。
とは言っても自然栽培での開花までの時間は、挿し仔で4、5年、促成栽培で3年、実生となるおよそ7、8年はかかると思われます。
開花が夏〜秋にかけてだとすると、受粉してから果実が収穫出来るまでおよそ7〜8ヶ月かかります。
受粉した後、果実は植物体内で育ち翌年の春遅くに出てきます。
出てくると言うより、新しい疣が中心から展開しながら一緒に押し出されるといった感じで。
その果実から種子を取り出して播種してもよいですが、取り蒔きをしても発芽は翌年だと聞いたので、そのまま保存して更に翌年の春先に縮れた果実から種子を取り出し、殺菌剤を使用後に播種しました。
水を吸った種子は急激に大きく育ち、殻を破って豆の様なサボテンが出てきて発芽です。
少し細長いこの豆は、他の植物で言うと双葉みたいな役目をしていて、暫くその状態を過ごした後に画像の様な小さな棘を持った疣がそこから成長してきて、赤ちゃんサボテンになります。
だから赤ちゃんサボテンになるまでに受粉してから2年を要し、開花の親にするにはやはり10年近くは覚悟しなくてはなりません。(加温なしの自然栽培)
さて本題の動く雄しべですが、蜜腺を目当に来た昆虫に確実に花粉を付ける、いや花粉だらけにしたい様にかなり早いスピードで動くのです。
画像は開花したばかりの花のアップですが、中心の雌しべは未だ平開せず立っています。
その周囲には花粉を噴いている雄しべがありますね。
この雄しべから別な開花している象牙丸に受粉させる為、花粉を採取したいと筆で触ると急に下の画像の様になる訳です。
お判りでしょうか、
立って少し外側に開いていた雄しべは、螺旋状に雌しべの根元を覆ってしまいます。
この締まった雄しべは一定時間は戻りませんから、中に閉じ込められた昆虫はかなりもがかないと外には出られない為、花粉だらけになると思われます。
なんか面白かったので、記事にしてみました。